毎年11月は夕焼け強化月間と決めている。
理由は二つあって、まずは「空倶楽部」の11月のお題が「夕焼け空」であること。
そして、もうひとつは北陸の天候。
北陸の気候は冬に向かうにしたがって、雨から雪の日が多くなり
どうかすると一週間以上も太陽を見ない日も続いたりもする。
なので、この時期に夕日を撮りだめしておこうと思うのだ。
ということで、準備期間の一枚は三国港エッセル堤にて。
エッセル堤とその先の新堤は渚から外海に向かって
大きくアーチ状に張り出している。
距離にして約1キロの堤は防砂、防波の役割を担い、
外海から守られた三国港はいつも穏やかな表情を見せてくれる。
この日、天気が良すぎたせいか夕焼けそのものは期待したほどでもなかったが
日没直後の水面。一瞬染まった空の色を映す夕映えに目を見張った。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
空写真に困ったときは迷わず空撮り基地のひとつ、
夕刻の三国港をめざす。
残暑が長引いてヤキモキした向きも多かったと思うが、
なんとなくでも、深まった秋の気分を共有していただけたなら幸いだ。
話は変わるが、県をまたいだ三国へは金沢の自宅から距離にして70キロ。
片道1時間半の道のりだ。
そこへ週末の晴れ間を目がけて向かうのだが、
土曜日ではなく日曜日に出かけることが多い。
サラリーマンの方ならご理解いただけると思うが
徐々に厭世気分が高まる時間帯にあえて長距離をおして向かうのだ。
家内など「また?今から!」などと半ばあきれ顔だ。
自分でもその理由はうまく説明できないのだが...
頬に海風を受けながら、穏やかな日没を待つ。
そんな時間が新しい週に向かう気持ちに活力を与えてくれるのかもしれない、と
思ってみたりもする。
夏を引きずった今年の秋も10月に入った途端、
まるで一気に遅れを取り戻すように高い空が広がり始めた。
ところが今回の空倶楽部。
空が最も美しい季節のはずが、急な季節の進行に着いていけず
相応しい空写真が撮れていない。
とは言え、絶好の空をスルーするのも惜しい。
それで、昨年訪れた三国港の空を蔵出しすることで無理やり参加。
なので「秋の気配」とタイトルをつけたものの実は後ろめたい気持ちもちょっぴりある。
海を見下ろす小高い丘から三国の町と港を展望。
当ブログで紹介することの多いエッセル堤も
いつもとは違う雰囲気で眺めることができるし
潮の流れやエッセル堤の防潮効果も確認できる。
そして、その小高い丘に建つのがこの建物。
龍翔博物館といって地元坂井市の歴史や文化を紹介しているのだが
この特徴的な外観デザインはかつてこの地にあった旧龍翔小学校の外観を踏襲したものだとか。
ちなみに龍翔小学校の設計もエッセル(エッセル堤の設計者)である。
さらにウンチクを重ねるなら、「だまし絵」で有名な画家エッシャーの
オランダ語読みはエッセルで設計者の息子だそうだ。
さて。
今日は月一度のお題の日で「鉄塔のある空」
火力発電所の煙突に4基の風力発電機。
さらに送電塔が2本。
「どうだ!」と言いたいところだが...。
これまた「蔵出し」。後ろめたくもクリア。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
夏真っ盛りの三国港。
昨年秋の高波で大きく損傷したエッセル堤の復旧も終わったようで
いつもの夏同様に穏やかな風景が戻ってきた。
エッセル堤が完成したのは明治13年。
港湾整備を急ぐ明治政府が招へいしたオランダ人技師エッセルが設計したことから
エッセル堤という通称で呼ばれるようになったとのことだ。
以来、140年以上にわたって外海から港を守っているのだが
単なる防波堤としての評価だけではない。
我が国の近代化に果たした役割と貢献は大きいとして
平成13年に国の重要文化財に指定されている。
つまりエッセル堤は防波堤にしてレガシーなのである。
そして、三国港に隣接するサンセットビーチ。
レジャーが多様化する中で海水浴客が年々減り、海水浴場の閉鎖も相次いでいるが
ここサンセットビーチはまだまだ健在。
地元はもちろんのこと関西方面から訪れる海水浴客も多いようだ。
しかし、さすがに日没に近い時間ともなると人も疎らになる。
傾いた光に照らし出だされた人々が渚に作り出す「間」は
夏の盛りにもかかわらず、すこしさみしさも漂わす。
その風景に見入り、空写真として繋ぎとめた次第だ。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
空の低い位置に張り出した厚い雲。
さらにその雲から天頂に向かって柱上の薄い雲が昇っているように見える。
雲が織りなすダイナミックな光景に驚嘆しつつシャッターを切った次第だが...
三国港(福井県坂井市)2024.06.15 17:37 Sony α7R3 FE2.8 16-35 GM
「どうしてこんな現象が起きるのだろう?」「何て名前の雲だろう?」
興味津々にこの光景を眺めてもいたのだが
ひょっとして、こうして入道雲ができるのかも? と思ったりもした。
そうだとすれば、夏を代表する空模様。
季節折々に現れる空写真は面白い。そして奥深い。
「9」のつく日は空倶楽部の日。
空倶楽部、5月のお題は「5月5日の空」。
どこでどんな空を撮ろうか、前日まで特に考えていなかったが、
3日間続いた晴天が5日の夕刻から崩れ始めると知って
それなら海で大きな空を撮ろうと思い立った。
というのも、天気の変わり目には雲が赤く染まりながら次々と変化するなど
躍動感あふれる空が現れることが多いからだ。
そんな空を広角レンズで撮ろうと、陽が傾く頃を目がけ三国港エッセル堤へ向かったのだが...。
堤には高い金網が張り巡らされ、その中には重機も置かれている。
昨年秋の高波で堤の一部が倒壊したのだが、その復旧工事が始まったのだ。
砂浜から海に向かって大きな弧を描いて伸びるエッセル堤と
その上に広がるドラマチックな空を当てにしていたのだが
これでは風景にならない。
「それなら!」と港の対岸に渡り、海に沈む夕日を望遠レンズで狙うことにしたのだが...。
これまた目論見が外れた。水平線近くに厚い雲が張り出し、せっかくの落陽を包み込んでいたからだ。
「今日は運がなかったか」と三脚を撤収しようとしたのだが、すぐに手を止めた。
テレ端にした望遠レンズに映し出される釣り人たちの姿に目を見張ったのだが、
思いそれぞれの人たちの姿がオレンジ色の空を背景に
まるで影絵物語のように見えたのだ。
家に戻ってからのこと。
後処理で暗い人影の明度を持ち上げて見たところ
釣り人たちが群像劇でも見るように生き生きと現れた。
そのとき、「そうだ、それぞれの5月5日を楽しむこの人たちを主題にしよう」と思いついたのだ。
自宅から三国港までは車で片道1時間半の道のり。
その帰り道。夕焼け空の余韻を思い返しながらこの人の歌声を沁々と聴いていた。
James Taylor - Fire and Rain
「9」のつく日は空倶楽部の日。
引きつづき「光の春」で空倶楽部に参加。
三国港(福井県坂井市) Sony α7R3 FE24-70㎜/f2.8 GM2
おだやかな波が沖から光を運んできて
その光を砂の上に置いていく。
ところが光は波が引くとたちまち砂の中にしみこんで消えてしまう。
ただそれだけのことが何度も繰り返される。
Sony α7R3 FE24-70㎜/f2.8 GM2
その光景を飽きもせずにうずくまってながめていたのだが、
背中を丸めて波打ち際にカメラを向ける姿は
渚にいた人たちからするとかなり風変りに見えたに違いない。
今になって思えば、その所行、すこし気恥ずかしくもある。
さて、記事を書きながら、ふと思い出した曲が
『So Much In Love(邦題:渚の誓い)』だった。
アカペラの名作として様々なアーティストが取り上げていて
私がこの曲を知ったのはアート・ガーファンクルによるカヴァーだった。
日本のアーティストでいえば、「なるほど」とうなづける山下達郎。
また、桑田佳祐のによる楽曲もyoutubeで見ることができる。
どれにしようかいろいろと聴いて落ち着いた先が
The Tymes, "So Much In Love" 1963
本家本元、The Tymes のオリジナルだった。
60年前の録音ということもあるのかもしれないが
子供の頃に刷り込まれたなつかしい海の風景を思い起こさせてくれた。