先月の話になるが
21世紀美術館で開催された「北陸二科展」へ行ってきた。
そこに展示された家内の絵を見に行ったのだ。
「CIRCUS」というタイトルの三枚の絵だが
飾られたとはいえ、これはまだ、
秋に東京で開催される「二科展」に向けた研究展示でしかない。
けれども、絵を描き始めてやがて5年。
そのひとつの成果だと考えるなら、喜ばしいことだ。
そのことはともかく。
日本でサーカスといえばすぐに頭に浮かぶのが『木下サーカス』。
今でもあるのかな、と思い、検索してみたところ、
立派なホームページが出てきた。
創立以来、120年もの歴史を重ねているそうだから、堂々たる長寿企業(?)。
今も全国あちこちを回り、現在は大阪で公演をしているらしい。なによりだ。
さて、自分にとってサーカスの記憶となると、それはもうはるか昔。
おそらくは小学校にも上がっていなかったころだと思う。
鉄道の線路わきの空き地に建てられた大きなテント。
そのサーカス小屋へ親に手を引かれ出かけたことを
おそらくは60年近くも前のことだが、今でも覚えている。
薄暗がりのテントの中で見た光景。
サーカスの出しものといえば、空中ブランコなどアクロバットが思い浮かぶが、
幼かった自分にとって、それらの記憶はあいまいで
それよりも、馬や象、ライオンなど
大型の動物がたくさんいたことが、鮮明な記憶として残っている。
今でこそ地方にも動物園はあるが
その頃は犬や猫以外の動物を見る機会などめったになく
大きな動物たちを間近にしたことが強い印象として残ったのだろう。
しかも、その動物たちがサーカス団員と親密に触れ合う姿を物珍しく見ていた。
実はきびしい躾の結果なのだが、子供心にそんなことがわかるはずもなく
ただ、動物たちのしぐさを微笑ましく眺めていたのだと思う。
そんな記憶を辿りながら、家内の絵を眺めていたのだが、
家内が何を思ってサーカスをテーマに選んだのか、は聞いていない。
もしかしたら、家内も、あの線路わきのサーカスに出かけていて
その記憶を手繰っているのかもしれない、と思ったりもした。
次の作品の構想に入ったようだが、やはり、テーマはサーカス。
そして、なにげなくデッサンを覗き込むと
どうもそこに、象を登場させるようだ。
もし、家内の記憶も幼いころのサーカスに繋がっているとすれば、
あの動物たちがどんなふうに描かれるのか、
楽しみでもある。
折にふれての選曲。
サーカスのことを書いていて、思い浮かんだのが『Little Wing 』
洋楽通の方なら、かつて、エリック・クラプトンが率いたロックバンド
デレク&ドミノスの楽曲を思い浮かべると思う。
オリジナルはロックギタリストのジミ・ヘンドリックス。
彼は薬物中毒で早世しているので、
シュールな歌詞を眺めると、「幻覚症状...?」などと思ったりもするが
ここは、懐かしい思い出、さらには誰か愛するひとへの思いと素直に受けとめたい。
そして、選んだのはこの曲の美しさをもっとも引き出している(あくまでも主観だが)
スティングのカバーとした。
VIDEO Little Wing - Sting
Well she’s walking through the clouds 彼女は、駆け回るサーカス団員のような心持ちで With a circus mind that’s running round 雲の間を歩いていく Butterflies and zebras 蝶々にシマウマ And moonbeams and fairy tales そして、 月の光やおとぎ話 That’s all she ever thinks about それが彼女が考えるすべてのこと