はがき随筆の2月度の入賞者は次の皆さんです。(敬称略)
【月間賞】15日「笑顔の春になれ」清水昌子(62)=出水市明神町
【佳作】2日「切り干し大根」塩田きぬ子(64)=出水市下知識町
【佳作】16日「たこ揚げ」宮路量温(68)=出水市中央町
笑顔の春になれ 入学は一般的には期待や楽しみですが、養護施設の児童は小学校に入る時に、今までの職員とも別れ新しい学童棟に移るので、それを不安に感じるS君の心の動きを思いやっての優しい文章です。社会的な弱者に対する思いやりには、こういう気づきが大切だと考えさせられます。
切り干し大根 切り干し大根を作っていたら、孫娘に手つきがいいと褒められた。考えると、母も義母も作っていて、それを自分が引き継いだ。自分の母や義母への思い出と同じように、祖母の思い出として孫娘の映像に残るといいと感じた。ささいなことかもしれませんが、こういう家族の歴史は大切なものだと思います。
たこ揚げ 定年を過ぎてから、正月には妻とたこ揚げをしている。足下の稲株の踏みつけられる音やたこ糸の力強い手応えが楽しい。傍らを通る人も立ち止まって見てくれる。特別のことでもない遊びですが、高齢になって夫婦でたこを揚げるというのは、やはり特別の充実した贅沢な遊びといえそうです。文章に心地よい雰囲気が流れています。
次に3編を紹介します。
武田静瞭さんの「かくれんぼ」は、庭木に来るメジロをカメラに納めようとしたら、まるでかくれんぼをしているように、動き回る。近くでヒヨドリも参加(?)したいのかそれを見ていた。今月は小鳥を素材にした文章が多かったのですが、メジロの動きをかくれんぼとした見立てが、軽妙な味をだしていますので選びました。
小村忍さんの「子守唄」は、五木の里にも天草の福連木にも伝わる同じ子守唄に、子守に出されて子どもたちの貧しさと辛さとを思いやった内容です。子守唄の背景への思いがよく表れています。
本山るみ子さんの「元気で何より」は、大正未年生まれの叔父から年賀状がこなかったので、心配して電話してみても、応答なし。ところが、年賀状の返事に元気な電話があって、一安心。年賀状はやはり、家族のつながりではあります。
(鹿児島大学名誉教授 石田忠彦) 2015/3/25 毎日新聞鹿児島版掲載
【月間賞】15日「笑顔の春になれ」清水昌子(62)=出水市明神町
【佳作】2日「切り干し大根」塩田きぬ子(64)=出水市下知識町
【佳作】16日「たこ揚げ」宮路量温(68)=出水市中央町
笑顔の春になれ 入学は一般的には期待や楽しみですが、養護施設の児童は小学校に入る時に、今までの職員とも別れ新しい学童棟に移るので、それを不安に感じるS君の心の動きを思いやっての優しい文章です。社会的な弱者に対する思いやりには、こういう気づきが大切だと考えさせられます。
切り干し大根 切り干し大根を作っていたら、孫娘に手つきがいいと褒められた。考えると、母も義母も作っていて、それを自分が引き継いだ。自分の母や義母への思い出と同じように、祖母の思い出として孫娘の映像に残るといいと感じた。ささいなことかもしれませんが、こういう家族の歴史は大切なものだと思います。
たこ揚げ 定年を過ぎてから、正月には妻とたこ揚げをしている。足下の稲株の踏みつけられる音やたこ糸の力強い手応えが楽しい。傍らを通る人も立ち止まって見てくれる。特別のことでもない遊びですが、高齢になって夫婦でたこを揚げるというのは、やはり特別の充実した贅沢な遊びといえそうです。文章に心地よい雰囲気が流れています。
次に3編を紹介します。
武田静瞭さんの「かくれんぼ」は、庭木に来るメジロをカメラに納めようとしたら、まるでかくれんぼをしているように、動き回る。近くでヒヨドリも参加(?)したいのかそれを見ていた。今月は小鳥を素材にした文章が多かったのですが、メジロの動きをかくれんぼとした見立てが、軽妙な味をだしていますので選びました。
小村忍さんの「子守唄」は、五木の里にも天草の福連木にも伝わる同じ子守唄に、子守に出されて子どもたちの貧しさと辛さとを思いやった内容です。子守唄の背景への思いがよく表れています。
本山るみ子さんの「元気で何より」は、大正未年生まれの叔父から年賀状がこなかったので、心配して電話してみても、応答なし。ところが、年賀状の返事に元気な電話があって、一安心。年賀状はやはり、家族のつながりではあります。
(鹿児島大学名誉教授 石田忠彦) 2015/3/25 毎日新聞鹿児島版掲載