はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

悪石島

2009-08-10 16:00:21 | はがき随筆
 皆既日食を控えて、悪石島がマスコミの話題になっていた。
 昭和36年、当時、久留米大学の第二外科に籍を置いていた私は、無医村診療に出かけた。
 鹿児島港を夕方出た十島丸はあちこちの島に寄り、午後3時に悪石島に。2泊3日の診療。当時は岩壁も電気もなく不自由な生活だったが、楽しい思い出として今も心に残っている。
 紺碧の海とトビウオ、それにガジュマルの木。島民の言葉は鹿児島弁ではなくて京都弁に近かったように思う。
 島もすっかり変わっていると思うが、もう一度行ってみたい島である。
  志布志市 小村豊一郎(83) 2009/8/10 毎日新聞鹿児島版掲載

ミステリアス

2009-08-10 15:57:23 | はがき随筆
 楽しみにしていた皆既日食は残念ながら雨で、コロナなどの現象は見ることが出来なかった。でも太陽が隠れる前と、隠れてからのわずか1分ちょっとの間の、何とも表現のしようのない神秘的で貴重な体験をすることができた。
 次に日本で見られるのは26年後らしい。その時こそ、今回見られなかったコロナ、ダイヤモンドリングを是非見てみたい。26年後、私は77歳。その日まで元気でいなくちゃ。まさか、こんな楽しみが待っていたなんて夢にも思っていなかった。これも、きっと皆既日食がもたらしたミステリアスかもしれない。
  中種子町 西田光子(51) 2009/8/9 毎日新聞鹿児島版掲載

ごめんなさい

2009-08-10 15:52:06 | はがき随筆
 居間に横たわりテレビに見入っていると、孫息子がいきなり横腹を蹴った。あ然とした。どうしたの。娘が孫に「謝りなさい」と言うと「いや、いや」と激しく反発して泣き出した。後に親子はお風呂に入った。入浴後、孫が私に「ごめんなさい」と深々と頭を下げた。不機嫌だったのに。不思議だ。娘が言うには入浴中に「ばあちゃんに謝りなさいと教えた」と。道理で納得した。私は目に光るものを実感した。こんな小さい3歳の人間が賢いねと。反省する心や正義感をはぐくむころだ。親のしつけが子の環境をはぐくむ。鉄は熟いうちに鍛えなければ。
  加治木町 堀美代子(64) 2009/8/8 毎日新聞鹿児島版掲載