はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

あの子がねえ

2017-08-26 08:56:10 | はがき随筆
 小学1年の孫がおばあちゃんに話した。「おじいちゃん、たし算、間違ってばかりだよ」。たまに会話がつながらないこともあったが深く考えなかった。病院に連れて行くと「認知症」と。投薬を始めて3年。千葉に住む私より2歳下のいさこの博君。この病も老いる一つの方法と聞くが、無情極まりない。明日は我が身かも、と自戒する。
 先日は急に「飛行機に乗りたい」と云い出し、お墓参りがてら帰省した。1年前の法事では知らされていず、無口ないとこが珍しかった。今回はにこにこ笑ってばかり。「私がだれかわかる?」と聞けなかった。
  いちき串木野市 奥吉志代子 2017/8/26 毎日新聞鹿児島版掲載

痛ッ

2017-08-26 08:47:41 | はがき随筆
草木も眠る丑三つ時、突如激痛。すぐにムカデと直感。布団をめくると痩せムカデがそそくさと逃げている。痛みと憎さで原形をとどめぬほど、タタッビッシダ。ここ何年か業者に薬剤散布を頼んでいたのだが、どこをどうかいくぐってきたのか。虫さされの薬をさがすも、やっと見つけたのは期限切れ。とりあえず、乾いたら塗り……。2.3日で痛みが痒みに替わり、傷口を見ようとしたが、右足親指の裏。ポッコリおなかと固い骨のため、自分の足の裏さえ見れぬ。若いと思っていたのに、高齢化のきざしが見えてきた、気づかされた。
  阿久根市 的場豊子 2017/8/25 毎日新聞鹿児島版掲載