はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

小糠踊の盛況を喜ぶ

2017-09-06 14:36:01 | 岩国エッセイサロンより




2017年9月 6日 (水)
   岩国市   会 員   片山清勝

 8月に撮った写具の整理をしながら、「こぬかの盆」のにぎわいを思い出した。
  「小糠踊」は、錦帯橋近くの盆の路地踊りとして400年続く郷土芸能。昭和のある時期から中断したが、保存会が今日まで引き継いできた。応援隊が結成され、盆の行事として復活し、今年は3年目になる。
 日が暮れてちょうちんに明かりがともり、小路を照らすと、三味線と太鼓のはやし、甚句に合わせて踊りが始まる。
 復活した初年から撮っているが、今回、踊る子どもの多さに驚いた。地元の児童たちが夏休みの暑い中、保存会員の指導を受けて一心に練習したという。
 浴衣姿の子どもたちは、保存会員に負けじと楽しそうに踊る。郷里の伝統芸能を受け継ぐ良き担い手だと感じた。応援する母親も多く、世話方の苦労が実り始めたと実感する。
 ことわざに「石の上にも三年」など、3年の節目を説いたものがある。子どもらがつないでくれる様子に、伝統の復活を信じた一夜だった。 

      (2017.09.06 中国新聞「広場」掲載) 

赤子の能力

2017-09-06 14:34:52 | はがき随筆
 夏休み、息子たち家族を誘って阿蘇のホテルに1泊した。
 次男の娘の5カ月になる孫を連れて温泉に入った。先客のおばちゃんたちから口々に声をかけられた。たぶん「かわいいね」みたいな意味だと思うが、日本語ではないので分からない。孫は私にしがみつき泣き出した。あやされればあやされるほど泣き声が大きくなる。見た目はばあばと同じおばあちゃんたちから、今まで聞いたことのない言葉で話しかけられてパニックのようだ。
 話すことはできなくても聞きなれた言葉との違いは分かったのかと赤子の能力に驚いた。
  出水市 清水昌子  2017/9/6  毎日新聞鹿児島版掲載