来年は寅年、さぁてどんなデザインにしようかなと思う。奇抜な寅もいいし、従順な寅もありか。絵本の中から一つに決めた。もちろん愛犬の桃太郎君は登場させる。年賀状用の版木は意外と柔らかくスイスイとはかどる。一気に線を彫る。版画の醍醐味はこれだ。しま模様がいい。版木2枚で完成する。彫りながら今年こそはコロナ禍が終息してほしいと願う。マスクをはずしてみんなと大きな声でおしゃべりしたい。遠方に住む子供や孫たちに会いたい。穏やかな日々が恋しい。そんな願いのこもった1枚の年賀状になれば幸せ。頼みますよ、寅さん。
熊本県八代市 鍬本恵子(76) 2021.11.6 毎日新聞鹿児島版掲載