小説「坊ちゃん」では主人公が中学校の宿直で寄宿生にいたずらされ、大騒動になる。漱石は宿直を面白がって描いている。
私の若い頃、宿直は仕事の一部だった。支店は人数も少ないので6日に1度、宿直が回ってくる。深夜にトラックの運転手に起こされた。2人で倉庫に4㌧の資料を下ろすと、夜が明けた。台風時に宿直を何度か経験した。家は心配だったが、仕事優先なので仕方なかった。
小学5年生の夏休み。担任の先生が宿直の日に級友3人で押しかけた。宿直室の布団の中で、少年たちの夢を熱心に聞いていただいた先生に感謝している。
鹿児島市 田中健一郎(83) 2021.11.6 毎日新聞鹿児島版掲載