はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

黄金の箸置き

2014-11-02 08:20:45 | はがき随筆
 庭の柿の落葉が始まった。毎朝、ほうきで掃いている。今日はその一葉を手にしてみた。鮮やかな朱色地に黄や緑色の複雑な模様である。じっと見ていると、なぜか平安時代が思われてしまう。日本の古来種の柿だ。紫式部も目にしたに違いない。
 今朝は落葉が多い。掃き捨てるのが惜しい。が、取り置いても3日ともたないし……。
 ベンチに落ちた二葉を選ぶと、台所で水洗いし、布巾に挟んで水気を取り除いた。朝食担当の私はみそ汁を作り、デザートの準備が終わると、そのみずみずしい彩りの二葉を箸置きにして、妻を待つことにした。
  出水市 中島征士 2014/11/1 毎日新聞鹿児島版掲載

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