はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

忘れ得ぬ声

2009-06-27 12:08:20 | はがき随筆
 涼やかで心地よい声だった。今も耳底で鳴るようだ。その人はG高の司書をしておられた。私も同職だったので研修会などでお会いすることがあった。
 ある時、G高で会があったが、その蔵書の多さに驚くと共に、その人の仕事ぶりや優しい気配り、何より心にしみ入るような声にすっかり魅了された。
 戦争でフィアンセを亡くされて、独身を通しておられるというその生き方にも打たれた。お相手の青年はどんなにか立派な方であったろうと想像したりその悲しみを思ったりした。
 既に80半ばになられたか。もう一度お目にかかってみたい。
  霧島市 秋峯いくよ(69) 2009/6/20 毎日新聞鹿児島版掲載



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