早朝、店を訪れた男性4人「ヤマメの年券をくれ」と言う。住所、氏名の聞き書きは不得手。耳も遠い。客に本券を書いてもらい控えを私が書く。北九州市の人たちで懐かしい。少し男っぽくさっぱりしている。一陣の風のように去った後、少し余韻に任せ亡き父や兄を思った。
店の前に今ごろ咲く黄色の大きい水仙が咲き誇っている。
冬の寒さの後小さなタンポポが芽を出し、春を待っている。かそけきものの気配にきづかずごめんなさいね。しばし目を閉じ、耳を澄ませば小さきものたちの、声なき声がほのかに聞こえてくるよう。
宮崎県延岡市 逢坂鶴子(93) 2020/3/18 毎日新聞鹿児島版掲載
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