はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一期一会

2006-03-27 18:19:35 | はがき随筆
 私の前を歩いていたお年寄りがしゃがみ込んだ。気分でも悪くなったのではと思い歩み寄った。すると、指でつまんだ吸い殻を見せながら「若者(わけもん)の世話になっちょっで、ちったあ世間の役にならんとなあ」と笑った。よく見ると、お年寄りの左手には吸い殻の入ったレジ袋が握られていた。その小柄な後ろ姿からは精いっぱい生きて、自分以外の人たちに出来るだけの事をしたいという気持ちが伝わってきた。「今日は幸福な1日になりそうだ」と私はつぶやいた。二度と巡り会う事が無いかもしれない素晴らしい人に出会えたのだから。
   鹿児島市山田町 吉松幸夫(47) はがき随筆特集版-2 (2006.3.27掲載)

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
よか国です (駿)
2006-03-27 22:10:03
 自己中心が幅を利かす世に、さすが鹿児島んしはよか人がおいやっなー。「地の塩」の人と云う。
返信する

コメントを投稿