桜が満開の頃、東京に住む息子を娘と訪ねたことがある。「お母さん、東京の桜もきれいだよ。江戸川公園に行ってみるといい」と普段無口な子が珍しいことを言う。ならばと行ってみた。公園は駅から数分のところにあった。林立するビルの間を川が流れている。
橋の上から眺めていると、川にせりだした桜の花びらが、風に舞い落ちていく。その光景に感嘆の声を上げた。花びらは川面を埋めつくし流れていく。それが「花筏」であると知ったのは、後になってからだった。今も目に焼きついている花筏をもう一度見てみたい。
宮崎市 石崎八千代 2018/4/26 毎日新聞鹿児島版掲載
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