「S子さんが死んだ」。ひとしきりおしゃべりを済ませると、電話の相手は付け加えるように言った。3人は四日市の短歌仲間。「私も赤毛のアンが好きよ。文学少女だった」。S子さんは目をくりくりさせて表情豊かに良く通る声で言った。「30半ばでアンが好きって恥ずかしい」。私の言葉に同調してくれた。
「若く見えたけど80だって」「嘘お」「いい声してたでしょ。前に詩吟もされてたから。読み聞かせの会では狼男やお婆さんが得意だったそうよ」「可愛い人だったわ」「そうね」。電話は1時間を超えた。
宮崎県延岡市 佐藤桂子(70)2018/7/26 毎日新聞鹿児島版掲載
「若く見えたけど80だって」「嘘お」「いい声してたでしょ。前に詩吟もされてたから。読み聞かせの会では狼男やお婆さんが得意だったそうよ」「可愛い人だったわ」「そうね」。電話は1時間を超えた。
宮崎県延岡市 佐藤桂子(70)2018/7/26 毎日新聞鹿児島版掲載
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