はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆特集「風」-12

2009-09-21 20:32:14 | はがき随筆
「漂う」
 船一面の干し物の中、裕次郎が缶詰をほおばる。「太平洋ひとりぼっち」のワンシーンである。
 現在の私の人生も似たようなもの。プカプカ漂うだけで風が吹かない。これまでだって順風満帆ではなかったが、逆風を乗り越え乗り越えやってきた。ところが還暦を過ぎるや否や病魔がいっぺんに襲う。予期せぬ事態に私はうろたえ心身共に消耗した。今やっと小康状態の波間で立ち直る機会を得て、ヨットは動こうとしている。
 このチャンスをつかみたい。
 人生の帆にいっぱい追い風をはらみ、さあ進んでいこう。
 伊佐市 山室恒人(63) 2009/9/21 毎日新聞鹿児島版掲載




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