はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

変則二人三脚

2008-04-16 07:49:23 | はがき随筆
 86歳になる母を誘って春の野に出た。新緑の野山や川面のカモを眺めながら、背を丸めゆっくり歩く母に歩調を合わせる。夢中でツクシや菜の花摘みに興じる母に、私は目を細める。
 私が作った弁当を、芝生の上に広げた。不格好な巻きずしに2人の会話の弾むこと。私のだじゃれに、母が肩を揺すって笑う。その高らかな笑い声が春風に乗り、ヒバリに負けじと大空をかける。春の野を舞台に私が歌い、一差し母が舞う。時折よろめくのも愛きょう。
 蕾の桜に名残を告げ「花」を歌いながら家路についた。母と変則二人三脚の珍道中。
   出水市 道田道範(58) 2008/4/16 毎日新聞鹿児島版掲載
   写真はぐらいんだぁさんより

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