はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ぼくの昭和史6

2015-05-18 07:10:29 | はがき随筆
 アメリカ人を初めて見たのは敗戦の翌年の春、小学校入学の少し前だろう。まだ雑木林が開墾される前で、数人の白人がそれぞれ銃を持ってのんびり散策していた。妹と外で遊んでいたぼくに、家に入るように言う母の鋭い声に驚いて駆け込んだ。休日の娯楽に猟に出ただけのことだが、その時は母にかじりついていた。
 小学校入学後は行動範囲も広がり、街中を颯爽と歩くのを見ても違和感は消えていたが、豊かに見えるその姿が羨ましかった。そんな疲弊した中、彼らに身を寄せて歩く女性の姿が、ぼくには逞しい日本人に見えた。
  志布志市 若宮庸成 2015/5/18 毎日新聞鹿児島版掲載

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