はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

彼岸花

2008-09-23 11:51:54 | はがき随筆
 突然、庭の隅につぼみをつけた茎がすくっと現れ、日ごとに花茎は伸び、まもなく開花の様子。真紅のしべの長い花が輪状に咲く彼岸花である。
 子供のころ母に毒があるので触ってはいけないと言われ不吉な花と思った。棚田のあぜに咲く花の紅と稲の緑とのコントラストの美しさに驚嘆し、モグラの侵入を防ぎあぜを守る花と聞いて、いとしさに変わった。
 故郷では曼珠沙華と言った。亡父はこの花を見ると「赤い花なら曼珠沙華……」と歌っていたことを思い出す。野原に群がって咲き、その辺りを深紅に彩っているさまは美しい。
   出水市 年神貞子(72) 2008/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿