「あっ、それ私のです」
その一言が言えなかった小3の暑い夏の日。
結核を病み家で療養していた父は、何かと用事を言いつけた。精米所に裸麦を持っていき、押し麦にしてもらうようにと10㌔入りの袋と百円札を手渡された。やせて小さい体に10㌔は重くて、途中で一休みした。
前かがみになり腰を下ろした時、ワンピースの三角形の胸ポケットから百円札が抜け落ちた。拾わなければと見ているうちに、4年の担任の先生が通りかかり、さっと拾ってポケットに入れて行ってしまった。
極貧時代の、苦い思い出。
薩摩川内市 森 孝子(66) 2008/10/22 毎日新聞鹿児島版掲載
その一言が言えなかった小3の暑い夏の日。
結核を病み家で療養していた父は、何かと用事を言いつけた。精米所に裸麦を持っていき、押し麦にしてもらうようにと10㌔入りの袋と百円札を手渡された。やせて小さい体に10㌔は重くて、途中で一休みした。
前かがみになり腰を下ろした時、ワンピースの三角形の胸ポケットから百円札が抜け落ちた。拾わなければと見ているうちに、4年の担任の先生が通りかかり、さっと拾ってポケットに入れて行ってしまった。
極貧時代の、苦い思い出。
薩摩川内市 森 孝子(66) 2008/10/22 毎日新聞鹿児島版掲載
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