はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

夕立

2008-08-19 21:14:46 | はがき随筆
 午後4時半、日が陰ったなと思ったら、雨が降り出した。南の島の夕立だ。乾ききった庭に大粒の雨が降り注ぐ。砂ぼこりのにおいが立ちのぼった。
 黒い雲が、形を変えながら遠ざかる。雨に打たれた庭の草花や木々が、急に元気づいたように見える。
 垣根の間から顔を出しているハマユウが存在を主張し、ヒトツバの枝にぶら下がっているコウモリランの葉からは水が滴り落ちる。サンダンカのだいだい色が鮮やかさを増した。
 リリリーン、リーン……。軒先の南蛮鉄の風鈴が、一段と高く鳴り響いた。
   西之表市 武田静瞭(71) 2008/8/16 毎日新聞鹿児島版掲載
写真は武田さん提供

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