「好きやねえ」。菜園の畝の補整に集中する私に、夫があきれたように言う。鋤で土をかき盛り上げて、四隅が四角く立ち上がるとスッキリする。
畝は古墳の前方部に似ているとふと思う。10年以上前通りがかりに偶然見つけ心引かれた、新田原古墳群を思い出した。
今ごろだとトウモロコシの緑が一面おおう黒土の台地に、前方後円墳や円墳がポコンポコンと草の小山を成す。隣り合わせで農家や牛舎が建つ風景が、訪れるたびに親近感を抱かせる。
今ここで土を耕す私も歴史の端くれ。そよぐ風に太古を感じしばし汗をぬぐう。
宮崎県日南市 矢野博子(69) 2019/7/10 毎日新聞鹿児島版掲載
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