天気予報どおり、午後から雨となった。デパート前の横断歩道を歩いていて、ふと赤い傘に視線がいく。若い女性の傘は少しばかり男性に傾けられ、肩が触れ合うように歩いていた。
もう五十数年前になるだろか。勤務の帰り道、降り出した雨の中を、急ぎ足の彼がいた。私は砂利道を小走りにして傘を傾けながら歩いた。早歩きの彼に歩調を合わすように、鼓動も高まっていた。
あの時の赤い傘も淡いハートも、すっかり色あせてしまった今。「なんでやろう!?」と苦笑いしながら、デパ地下の食品売り場へと向かった。
鹿児島市 竹之内美知子(74) 2008/7/1 毎日新聞鹿児島版掲載
もう五十数年前になるだろか。勤務の帰り道、降り出した雨の中を、急ぎ足の彼がいた。私は砂利道を小走りにして傘を傾けながら歩いた。早歩きの彼に歩調を合わすように、鼓動も高まっていた。
あの時の赤い傘も淡いハートも、すっかり色あせてしまった今。「なんでやろう!?」と苦笑いしながら、デパ地下の食品売り場へと向かった。
鹿児島市 竹之内美知子(74) 2008/7/1 毎日新聞鹿児島版掲載
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