はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

浄土への入り口

2015-03-28 21:37:35 | はがき随筆
 昨年1月、私は腹部大動脈瘤の手術で全身麻酔をしました。背中の下の方にチクリチクリと針で刺したような感触、そのうちに脳の方に麻酔が効いてきて、何も感じなくなりました。
 「済みましたよ」との看護師さんの声に目を開けると、そこは病室のベッドの上でした。私は記憶をたどろうと一生懸命考えましたが、何も思い出せません。完全な無の世界の4時間、夢も見ていませんでした。
 もし手術に手違いでもあって死ぬことがあったとしたら、その時花園が見えたでしょうか。いいえ何も見えません。「千の風」も吹いていませんでした。
  鹿児島市 野幸祐 2015/3/23 毎日新聞鹿児島版掲載

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黄泉の国の入り口 (広島県 田丸)
2015-04-24 14:23:52
 出雲大社西側の路をまっすぐ、北に向かって山越えすると、十六島という場所に出た。そこから海岸線に沿って東に向かうと、黄泉の国の入り口といわれる猪目洞窟がある。文化財に指定されているようだ。
 黄泉の国の入り口と浄土への入り口が、同じかどうかわからないが、私も、若いとき真っ白な世界を見たことがある。極楽なのか地獄なのか分からないが、何も感じなかったと記憶している。痛みも苦しみもなかった。
 昨今は、極楽浄土を信じて、日々後悔のない生活が出来ればと思っている。
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