今、私は鹿児島市のY病院にいる。大けがで搬送されたのだ。私の平安の姫君的生活が始まった。今までなにも考えないでちゃちゃっとやれていたことが、何一つできなくなった。半径1㍍だけが、私が一人で動ける範囲。冷蔵庫のお茶も取れない。ベッドから落ちたペンも取れない。誰かの介助なくば、生きることができない。
だからあえて、今ばかりは思おう。私「平安の姫君」なのだ、と。彼女たちは、館の奥の帳のなかで、ほぼ一日横たわって暮らしていた。生きるための全ての業を、人任せにして。私はいま、平安の姫君。
鹿児島市 奥村美枝 2017/4/23 毎日新聞鹿児島版掲載
だからあえて、今ばかりは思おう。私「平安の姫君」なのだ、と。彼女たちは、館の奥の帳のなかで、ほぼ一日横たわって暮らしていた。生きるための全ての業を、人任せにして。私はいま、平安の姫君。
鹿児島市 奥村美枝 2017/4/23 毎日新聞鹿児島版掲載
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