はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

雪と赤い火

2010-02-18 11:29:34 | はがき随筆
 久しぶりに積もった雪は、吉松を中心とした地震を思い出させた。四十数年前、牧園に住んでいた。雪が20㌢程積もった朝、夫と小1の娘を学校に送り出して下の子2人と遊んでいた。
 突然、家がきしんで揺れた。地震だ。とっさに下の子を帯で背負い、掘りごたつの中から練炭こんろを取り出し、上の子を抱いて外に出、真っ赤な練炭の火を積もった雪の上に放った。
 ジュッと鳴って赤い火は、雪を溶かしながら消えた。外はまるで遠くから山が鳴りながら近づいて来るような光景だった。
 何度も繰り返す揺れの中で、地震の弱まるのを待っていた。
  薩摩川内市 森孝子(67) 2010/2/16 毎日新聞鹿児島版掲載

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