はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

昭和19年戦死

2015-03-28 21:53:18 | はがき随筆
軍港だった佐世保の宿に面会に行ったのは、私が4歳になる少し前の3月か。面会でごった返すその日のことはぼんやりと覚えている。「母ちゃんのげたを履くな」とよその子に言ったとか。2人並んで座るように父と母をくっつけたとか。一緒に行った伯母がよく話してくれた。だからか、その日のざわめきは耳に残るのに、父の顔も姿も声も思い出せない。もうこれが最後だろうと父ははっきりと言ったという。その時の父の気持ちを思うと切ない。父の乗っていた艦は3月25日に出航。6月8日に南洋で敵の雷撃に沈没。2日後に父は戦死した。
  霧島市 秋峯いくよ 2015/3/25 毎日新聞鹿児島版掲載

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