はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

二の字二の字

2006-02-24 19:41:17 | はがき随筆
2月24日
 冬もたけなわ。昨年の暮れ暴れ回った冬将軍がまた雪を運んできた。ちょうど里に帰っていた。朝起きて昨夜の酔いも覚めやらず、雨戸を開けると、銀世界が飛び込んできた。縁側から垣根まで真っ白だった。どうやら雪も夜半に上がっていて、庭の松や柘植の木も白い綿帽子をかぶり朝日にキラキラ光っている。「うーん」と伸び上がって大きく息を吸い込んだ私は、ひとつ庭に出て雪でも握ってみようかなと思ったが、せっかくのこの雪景色を傷つけるのはなんとももったいない。時節柄、我が家に二の字を描く下駄一足ないのが悔やまれて仕方がなかった。
   鹿児島市紫原 高野幸祐(73)


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
俳句 (駿)
2006-03-01 14:55:01
 ♪雪の朝二の字二の字の下駄のあと

江戸時代の女流俳人、田 捨女(でんすてじょ)の作品を思い出しました。
返信する
あっそうですね (アカショウビン)
2006-03-01 16:58:54
思い出そうとしながら思い出せずにいたんです。

ありがとう。
返信する
恥ずかしながら (わいわい )
2006-03-03 12:11:00
自分の無知をさらけ出すようで恥ずかしいけど二の字二の字と間違って打ったのかと思いました。きっと書かれた本人もそれを踏まえて書かれていらっしゃるのでしょうが、私みたいな人間はここを見て初めて知りました。ここは、画面も綺麗だし、勉強にもなるし、コメントも洒落たものが多いし ・・・
返信する

コメントを投稿