暑苦しい真夜中。
「なんまいだ。なんまいだ。なんまいだ」
この声で、目が覚めた。椅子に座って母が、農業を長くして節くれ立った両手を合わせていた。
頭の手術をしてからというもの、最近すっかり言葉を忘れてしまっている。周りは理解させるのに一苦労。
来年は父の、七年忌。お祈りだろうか。来年は母の卒寿。感謝かもしれない。忘れられて遠くなったこの言葉は覚えていたのか。
声をかけることが、はばかられた一夜であった。
姶良市 山下恰(64) 2010/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載
「なんまいだ。なんまいだ。なんまいだ」
この声で、目が覚めた。椅子に座って母が、農業を長くして節くれ立った両手を合わせていた。
頭の手術をしてからというもの、最近すっかり言葉を忘れてしまっている。周りは理解させるのに一苦労。
来年は父の、七年忌。お祈りだろうか。来年は母の卒寿。感謝かもしれない。忘れられて遠くなったこの言葉は覚えていたのか。
声をかけることが、はばかられた一夜であった。
姶良市 山下恰(64) 2010/9/24 毎日新聞鹿児島版掲載
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