はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ゆっくり春が

2010-02-16 17:53:47 | アカショウビンのつぶやき








 冬枯れの庭で、クリスマスローズが一斉に花を開き、そこだけ彩りを添えている。

「クリスマスローズは切り花にすると、2週間は持つよね」と友人が言う。
でも、私は切り花にできないのだ…。

 毎年、花を観ながら考える。
「株を成長させるためには、花を切った方がいいんだろうなあ…」と。でもこの花は、花茎の上へ上へと蕾がつくので、最後の花まで咲かせてやりたいなあ…と思ってると切るチャンスがなくなってしまう。悩みつつまた今年も種ができるまで咲かせちゃうんだろうなあ。

 葉っぱ1枚でもけなげに花をつける、背の低い品種は今年も葉っぱは一枚だけ。
寒い土の下で小さなちいさな蕾を育てていたらしい。土を割ってようやく花芽が顔を出した。何年たっても大きくならない株だけれど、消えもせず今年も春の訪れを告げている。

 2.3日暖かい日が続いた朝、ユキヤナギが急に緑色に変わっていた。小さな若芽はぶり返した寒さに震えているが、こうして三寒四温を繰り返し、ゆっくり、ゆっくり春が近づいてくるのだろう。

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