春まだ浅く吹く風も冷たかった。5歳離れた弟の手を引き、小学校に通ったある朝、「姉ちゃん、僕大丈夫」と手を振り放し離れていった時の寂しさが遠い日の記憶の中にある。
無口で優しい弟。兄、私と家を出てしまい、両親を見る事に。その重圧からか、一気に酒量が増えた。唯一の趣味が写真を撮る事で、私にも度々送ってくれた。それはかれんな野辺の花、そこで遊ぶトントウ虫、河原のトンボであったり萌葱色の若葉など。自然の小さな命たち。なぜか心引かれ見入ってしまう。今、病に倒れた弟よ、生への息吹をもう一度と祈る。
出水市 伊尻清子 2014/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載
無口で優しい弟。兄、私と家を出てしまい、両親を見る事に。その重圧からか、一気に酒量が増えた。唯一の趣味が写真を撮る事で、私にも度々送ってくれた。それはかれんな野辺の花、そこで遊ぶトントウ虫、河原のトンボであったり萌葱色の若葉など。自然の小さな命たち。なぜか心引かれ見入ってしまう。今、病に倒れた弟よ、生への息吹をもう一度と祈る。
出水市 伊尻清子 2014/3/31 毎日新聞鹿児島版掲載
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