はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

桜に狂う

2018-06-14 12:59:34 | はがき随筆


 今年の桜は最高だった。開花してから散りゆくまで風も吹かず、雨も降らず暖かで穏やかな日がみごとに花を守り抜いた。
 桜の花は日本人にとって、とても特別なものだと思う。家族や友人、恋人と、また同じ職場の仲間と花を見ながら、お互いの育んできた関係性を思い、感じ合うものだと思っていた。
 満開の花見に早く行きたかったが忙しくて行けずにいた。その間、夫は連日あちこちの桜を見て回っていた。帰って来た夫に「明日花見に連れて行って」と頼んだ。夫の返事は「ノー」であった。私の体中の血が逆流し何かが狂い始めた。
  鹿児島県出水市 塩田きぬ子(67) 2018/6/14 毎日新聞鹿児島版掲載

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1 コメント

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ノーは難しい (コメンツのイケメン)
2018-06-26 14:09:02
高校時代の夢を見た。

桜の残された花弁の隙間から淡い緑を覗かせていた。


ブルマー姿のきぬ子さんの張り出した

胸をそよ風が撫でると花弁が雪のよう

に宙を流れた。
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