なかなか涼しくならなかったこの夏のある夜、網戸をちょっと開けてみた。突然、アブラゼミが「ミーン、ミーン」と大声をあげて飛び込んできた。びっくりして眠気も吹き飛んだ。
カーテンにとまったので手で捕まえようとしたが、ビクビク逃げ腰の私の手から飛び去り、姿は見えない。しばらく探したがどこに隠れたのか。「1泊させてください」かも知れない。翌朝早起きしてみると、台所にいた。戸を開けてやると「ありがとう」とも言わないで飛んでいった。今日も「暑い、暑い」と鳴いているのだろうか。夢のような熱帯夜の出来事だった。
熊本市中央 川口紋子(90) 2018/9/20 毎日新聞鹿児島版掲載
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