金柑は今が旬。夫と毎年作っていた金柑漬けを思い出す。夫は視力に障害があったが、器用に竹串で金柑に空気穴を作っていた。
私はそれを水煮して砂糖と蜂蜜を加え、防腐のために酢を入れて煮る。夫はあまり酢の匂いを好まなかった。しかし、出来上がったものを瓶に詰める喜びがあったようだ。そこには語らいがあり、和やかな時が流れていた。
そんなことを、ぼんやり考えながら今朝も金柑漬けをいただく。口の中に広がる甘い果肉の中に、夫のぬくもりを感じるひとときである。
鹿児島市 竹之内美知子 2012/2/8 毎日新聞鹿児島版掲載
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