受験で上京、汽車の中でのこと。満員で立すいの余地もない。おじさんがきつそうなので「しばらく交代しましょう」と。ところがその人、東京駅に着くまで知らぬ顔の半兵衛。憤慨したが後の祭り。母はかねがね「人に後ろ指を指されることをするな」と教えてきた。世の中に悪い人はいないと田舎育ちの私は思っていた。母は東京、満州への進学をあきらめさせた。一人息子を手放したくなかったのだろう。今こうして子供、孫に囲まれて平和に暮らしていけるのは母の愛があってこそと思う。若いときの汽車での出来事は、生き方を教えてくれたと思う。
薩摩川内市 新開 譲(82) 2008*9/11 毎日新聞鹿児島版掲載
薩摩川内市 新開 譲(82) 2008*9/11 毎日新聞鹿児島版掲載
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