例年、秋の訪れは背後から忍び足で近づいて、
ある朝開け放った内玄関から、つと入って来て、
季節の移ろいをしみじみ感じさせる、そんな先入観があった。
ところが今年の秋は早足でそれも真っ正面からやってきて
残暑見舞いを書く間も与えず、
文字通り有無をいわせなかった。
気がつくと、庭奥の樫の木に這い上がった自然薯の蔓に
ムカゴが太り風にぽたぽた落ちる。
喜び勇んでボウルに拾い集め、ムカゴご飯や塩ゆでにして楽しむ。
まさに秋の味である。
ムカゴが我が家の食卓に上がるころ秋はただ中、
いやもう晩秋である。
鹿屋市 門倉キヨ子 2011/11/10 毎日新聞鹿児島版掲載
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