はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

柿若葉

2013-06-01 08:41:07 | はがき随筆


 庭の柿若葉が初夏の日差しでまぶしい。
 毎年、秋の落ち葉に悩まされているので、冬大きく枝を切った。柿は肌寒く寂しくなっていた。
 春になって、一斉に芽吹いた。それは、あたかも切られた腹いせに反発するかのように「切られてもおれは元気だ。どうだ」と言わんばかりの勢いだ。
 「ごめんね、切って悪かったね」と。
 「これから、まぶしい葉をたくさん茂らせて」「庭は掃けばいいのだから」と話しかけた。
 柿はうれしかったのか、風に大きく揺れていた。
  出水市 畠中大喜 2013/6/1 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

コメントを投稿