私が中2の冬。竹を満載した荷車を引き、難所の田原坂。急こう配にこん身で踏ん張るも、車輪は回らない。吹きすさぶ風に雪が追い討つ。泣きじゃくる弟をげんこつで叱咤する。
最後の難関、萩の段坂に差し掛かると、ふぶく雪が目をふさぐ。家業を手伝う我が身を、天が邪魔して、神様は不在か。
我が家に到着するや「時化日和に荷車を引き、親の顔に泥を塗る気か」と父の怒声が飛ぶ。
ねぎらいの言葉一つなかった。″怒髪天″の私は後ろから父の頭をぽかりとたたき、戸外に飛び出した。その夜の晩飯を抜かれた。やはり神様は不在だ。
出水市 道田道範(60) 2010/1/13 毎日新聞鹿児島版掲載
最後の難関、萩の段坂に差し掛かると、ふぶく雪が目をふさぐ。家業を手伝う我が身を、天が邪魔して、神様は不在か。
我が家に到着するや「時化日和に荷車を引き、親の顔に泥を塗る気か」と父の怒声が飛ぶ。
ねぎらいの言葉一つなかった。″怒髪天″の私は後ろから父の頭をぽかりとたたき、戸外に飛び出した。その夜の晩飯を抜かれた。やはり神様は不在だ。
出水市 道田道範(60) 2010/1/13 毎日新聞鹿児島版掲載
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