はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

消えた腕時計

2018-05-26 14:51:09 | はがき随筆
2018年5月26日 (土)
  岩国市  会 員   山本 一

 腕時計を紛失して2週間が過ぎた。1万円程度の安物だが、電波受信と光発電で、もう4年間ずっと全自動で正確に動いていた。重宝し、外出時は必ずこの時計を使っている。
 忽然と消えた日は終日在宅で、時計はリビングに置いていたはず。当日は近くに住む娘家族と庭でバーベキューをやった。「3歳の孫が怪しいゾ」とついつい疑念を抱く。が、「理由もなく人を疑うとは何事だ。間違っていたら、どうするつもりか」と自責の念に駆られる。大好きな孫の顔が脳裏にちらつく。これはいけない。現状から早く逃げ出そうと、時計店へ走る。
   (2018.05.07 毎日新聞「はがき随筆」掲載)

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