はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

七年忌を前に

2008-04-01 10:17:49 | はがき随筆
 病気知らずだった88歳の父は病を得てから、私の訪問を心待ちするようになった。
 父に応えようと、昼間に会った日も私はパジャマにはんてんをを羽織り毎夜5分、車を走らせた。母と3人、小一時間語らううち父が休む時刻。隣のお茶の間で母が見守る中、ベッドの父に薬を差し出し、足をさする。ほんの数分間でも「気持ちよかった。ありがとう」が終わりの合図。肩が冷えないように布団を押さえ「おやすみなさい」。電気を消して、ふすまを2㌢開けたまま部屋を出る。
 入院する前日まで続いた夜のひとときは、半年で終わった。
   いちき串木野市 奥吉志代子(59) 2008/4/1 毎日新聞鹿児島版掲載

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
志代ちゃんは… (アカショウビン)
2008-04-06 19:58:36
いつも優しい志代ちゃんです。
ようやく、当時のことをエッセイに書けるようになったようです。
いっぱい泣いて、元気な志代ちゃんに戻りました。
ご両親がいつも見守って居られるのでしょう。
返信する
じーんときました。 (michi)
2008-04-06 19:24:12
じーんときますね!
素晴らしい親孝行ですね!
返信する

コメントを投稿