はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

抱かれたハガキ

2008-03-12 12:57:26 | はがき随筆
 今、思い出しても胸が熱くなる。私が教職2年の時。男とは相撲、女とは縄跳びをしてよく遊んだ。子供たちに夢中だった。
 学年末、未熟で軽率だった私は、大切な子供たちを残してヨーロッパへ研修に旅立った。
 他の組へ、分けて預けられた子供たちは、級友と別れ、寂しかったに違いない。スイスから一人一人に「元気ですか……」とハガキを書いた。
 復帰し、各家庭をわびて回った。あるお母さんが「うちの勝は先生のハガキを3晩も抱いて寝たんですよ」と語られた。薄情な私は、家に帰って泣いた。
   出水市 小村 忍(64) 2008/3/12 毎日新聞鹿児島版掲載

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2 コメント

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すごいですね (michi)
2008-03-13 09:31:40
当時、スイスに行くとは、すごい事だったと
思います。人に慕われる事は最高に幸せな事
ですよね!
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いい先生だったのでしょうね (アカショウビン)
2008-03-13 21:45:28
michiさま

先生の愛が子供たちの心を
暖かく包んでいたのでしょうね。
幸せな子どもたちです。
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