JR横須賀線で衣笠駅に降り立つ。こじんまりとした駅舎から昔ながらのアーケードが伸びる。衣笠はかつて軍港だった横須賀に隣接する私の出生地だ。おなかの私と電車に乗ってよく東京へ映画を見に行ったと、楽しそうに母が話していたっけ。セピア色に変色した幼年期の写真を携えての旅だが、60年も前のこと……。海軍将校だった父と母子が住んだ官舎が、戦後すぐ取り壊されたと、地元の古老から聞けた。
「4歳の春杜が、将来ふっとここを訪ねるかも……」。そんな夢みたいなことを思って、生まれ故郷への旅を終えた。
霧島市 久野茂樹 2013/10/2 毎日新聞鹿児島版掲載
「4歳の春杜が、将来ふっとここを訪ねるかも……」。そんな夢みたいなことを思って、生まれ故郷への旅を終えた。
霧島市 久野茂樹 2013/10/2 毎日新聞鹿児島版掲載
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