「ちょっと寄りませんか?」車で仕事に出た昼休み、同僚がハンドルを切った真幸駅。桜吹雪につつまれていた。熊本県八代から鹿児島県隼人までのJR肥薩線28駅のうち、ただ一つ宮崎県に
ある駅だ。古い駅舎には郷愁がある。遠い日の別れや再会、涙や笑顔、さざめき。
漢字は違っても私と同名の駅があるとは知らなかった。ホームの駅名標にひらがなで「まさき」とあり、横に「幸せの鐘」がある。幸せ願い鐘を打つ。ちょっとの幸せは一つ。もっとの幸せは二つ。いっぱいの幸せは三つ。乗客でない私はカンカンと小さく二つ打った。
宮崎市 柏木正樹(69) 2018/8/6 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます