応接間のサッシのガラス戸を開ける。ウッドデッキに首をかしげた小さな猫が座り、大きな目でこちらを見上げている。
向かい側の家が飼っている雌猫だ。ショートヘア風の柔らかな毛並みは、アンズ色に所々柿色が交じったシックな感じ。ただし顔の中心部は、鍋底の煤が付いたように黒い。そこに愛嬌があり、人間で言えば後期 高齢者の年齢なので、私と女房は「ミイばぁ」と呼ぶ。
ミイはガラス戸が開くと、我が家の猫のえさ場所に静々と進む。食べ終わると、あいさつもせずに「自宅」に戻っていく。これが、最近の朝の日課だ。
鹿児島市 高橋誠 2015/10/5 毎日新聞鹿児島版掲載
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