テレビのクイズ番組で富士山が撮り上げられていた。懐かしく思い、古いアルバムを開いた。富士山頂の観測所の前で笑っている20歳の私がいる。パッチワーク中の妻に話しかける。
20歳の記念に友と登ったこと。眼下に広がる雲海が真綿色の道に見えたこと。そして近隣に富士山に登った人は少ない──と自慢話をする。妻は「うん、うん」と聞いている。
あれから47年。富士山は日本一の山から世界遺産となった。青春の富士山を抱き、ひときわ輝く家族遺産へと自身の項を目指している私に、妻は「その話しは何回も聞きましたよ」と。
出水市 宮路量温 2013/10/23 毎日新聞鹿児島版掲載
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