はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

いとしのグローブよ

2016-03-17 18:51:39 | はがき随筆
 革製のグローブは仏壇の横の紙箱に納められた。「僕は窮屈でこの箱の中にいるのはいやだよ。息が詰まりそうだよ。早く外に出てあの広い草原で草野球でもしたいよ」。野球が大好きな夫は闘病中でもベッドにグローブやボールをしのばせた。ユニホームやグローブには汗や泥が染み通った。健康な頃、高校野球時代の話を自慢げに話した。瞳が生きていた。叱咤もあり罵声も浴びて随分、労苦したようだが、一回りも二回りも人間的に成長した。先輩やコーチ監督のおかげ。心から「感謝、ありがとう」。希望の星。巨人の星。長嶋選手を尊敬した。
  姶良市 堀美代子 2016/3/11 毎日新聞鹿児島版掲載

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