はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

慶応4年

2013-01-19 15:16:12 | はがき随筆


 父の母は80歳で私たち家族と同居。日課は山へ薪取り。背負える程になると、孫の土産にグミの実を、枝ごと薪の上に乗せ帰宅。ある日、祖母に誕生日を聞くと「慶応4年」と。当時は聞き流した。今になり慶応4年は9月7日終了、8日から明治元年と知る。父は末っ子で7歳まで乳を飲んだと。厳格な父にそんな一面も。思い出は山のふもとで芋作りに挑戦。肥料は各自持ち現場へ。祖母は誰よりも先に行き、山の崖から「オーイ」。その勇ましさ。その後、父が転勤で祖母を兄に預け赴任。楽しい老後の日々。自然と食欲が衰え96歳の生涯を閉じた。
  肝付町 鳥取部京子 2013/1/16 毎日新聞鹿児島版掲載

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