連日の猛暑にも、風に雲に秋を感じる阿蘇盆地。木々にゆらぐ月明かりを頭に、開けた窓から流れ込む冷風を足裏に感じて眠る。熱帯夜も秋虫は涼しげに鳴く。こんな時は阿蘇人でよかったと思う。厳しさも甘さも自然は自在だ。めいは今年家を建てるが「庭はいらない」と言う。その感性に、今人だなぁと私は思う。手をかける収穫や汗まみれの爽快さを彼らは知ることはないか? 晴耕雨読が喜びの世代は消えていく。自然が絶対優先の時が迫れば、現代人は自然と文明の均衡をどう持続させるだろう。誰もが機械だよりの世界とは不安なものだ。
熊本県阿蘇市 北窓和代(63) 2018/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載
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