私の代で建てた父母の墓を移転し永代供養することになり、ふるさとへもどった。「何を言われても構わない」と自分に言い聞かせる。「母の件ではご迷惑をお掛けしました」。深く頭を下げる私に和尚さんは言った。「あの人は蛾が強かったから。あなたは優しいぶん大変でしたね」。思ってもみない言葉にどっと涙があふれる。「よかったね。来てよかったね」と妻も泣いた。移転をお願いした墓石屋のご主人も、新しい寺の住職も市役所の係の人もみんなみんな優しかった。私の心の片隅にあったふるさとがぐんと大きくなった気がした。
鹿児島県霧島市 久野茂樹(69) 2019/2/25 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿児島県霧島市 久野茂樹(69) 2019/2/25 毎日新聞鹿児島版掲載
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