私と夫の実家の近くでおばさんがもやしを作っていた。太くて長いきれいなもやしだった。根切りをしておくと日持ちが良く、数日間はシャキシャキ感が変わらず、おいしかった。母と義母が我が家に来る時はいつもそのもやしを買ってきてくれた。孫たちと競って根切りをしていたのを思い出す。おばさんが亡くなり、もやしを作る人もいなくなった。今、私は時々、根切りもやしを買ってくるが。どうしても残っている根を取らずにはいられない。母たちが生きていたら「根切りなのに」と笑うだろう。そして、あのおばさんのもやしの話をするだろう。
熊本県天草市 岡田千代子(72) 2022.5.24 毎日新聞鹿児島版掲載
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます