はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

造林鎌

2014-07-03 10:07:12 | はがき随筆
 13坪の貸農園へ行き来する小道に雑草がかぶさってきた。草刈り鎌で刈り取れるようなものではないし、刈り払い機もない。実家の倉庫からさびた造林鎌を持ち出した。刃渡り60㌢、柄の長さ1㍍。亡き父が造林作業で使っていたものだ。それを研いで使った。
 2㌔の造林鎌は重たく、全身で雑草をたたき切るような力と根気がいる。肌着も上着も汗でびっしょりになった。
 夏の山仕事で汗まみれになった服を絞っていたと父が語ったことを思い出した。働き者で身を粉にして働き、家の暮らしを支えていた父を思った。
  姶良市 中馬和美 2014/7/2 毎日新聞鹿児島版掲載

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